第16章 彼女は一体いつまで騒げば気が済むの?

橘翔太は、昨夜遅くまで残業して帰ってきたのだろう。

橘結衣は彼の姿を目にしても、わざわざ挨拶する気になれなかった。わざといちばん遠い席へ行き、器の粥をすすりながら、肉まんにかぶりつく。ひとり黙々と。

橘翔太が、ちらりと彼女を見た。

今日の橘結衣は、またギャルメイクに戻している。真っ赤なロングストレートは一目で作り物だとわかるほど不自然で、黄味の強いファンデが本来の白い肌を容赦なく塗り潰す。紫がかった黒のスモーキーが、もともとの自然で繊細なアイラインを完全に上書きしていて、元の顔立ちがまるで思い出せない。

逆メイク。

橘結衣はそれが、やけに上手かった。

橘翔太は鼻で笑う程度だった。...

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